こちらの記事をご覧の方の中には、BMWのエンジンオイルの交換頻度を気にされている方もおられると思います。
結論から申し上げるとBMWのエンジンオイルの交換頻度は、長距離を走る方は10,000km、短距離を走る方は5,000kmを目安に交換していただくことを、整備士としておすすめしています。
また使用するエンジンオイルは、BMW認証の化学合成油が間違いないでしょう。
BMWのエンジンは複雑な構造をしており、不純物が原因で故障してしまうことがあります。
こちらの記事では、BMWのエンジンオイルの交換の必要性とエンジンオイルの種類、また整備士から見たおすすめのエンジンオイルをご紹介させていただきます。
BMWのエンジンオイルの交換を怠ると生じる危険
BMWなどの輸入車のエンジンオイルの交換は重要です。
エンジンオイルの交換を怠ると、以下のような不具合が発生することがあります。
燃費悪化
エンジンオイルの役割は、高速で回転するエンジンの動きを滑らかにするためにあります。
この役割は潤滑作用といい、潤滑作用が鈍ってくると、エンジンへの負荷が大きくなり、エンジンを動かすために消費するガソリンの量が増えます。
つまり、エンジンの性能を十分に発揮できなくなるため、燃費が悪化します。
BMWの寿命が縮まる
エンジンオイルには、エンジンに付着した不純物を取り除く、洗浄の効果があります。エンジンオイルの洗浄能力は、オイルにもよりますが、走行距離3,000~10,000kmが限界とされています。
そのため、エンジンオイルの交換を怠るとエンジン内に不純物が堆積してしまい、エンジンが円滑に動作できず、さまざまな不具合を生じさせます。
エンジン故障
エンジンオイルの交換を怠るとエンジンそのものが故障することがあります。
BMWのエンジンの修理代は一般車と比較して高額になります。
また、走行中に突然車が止まってしまうなど大事故につながる可能性もあるため注意が必要です。
エンジンの故障のような重大な事態が発生した場合、ほとんどの場合、事前に症状や兆候があります。
エンジンが故障した際に与える車両価格への影響
BMWを売却する際に重要なのはボディーの傷などの見た目もですが、エンジンなどの中身も重要です。
そのため、エンジンの良好な状態が保たれているBMWは、良い査定されますが、そうでない車は売却することも難しくなります。
下記は、エンジンオイルの交換を怠った際に表れる具体的な症状ですが、これを参考にエンジンオイルの交換の必要性を理解してもらえればと思います。
BMWは高性能なエンジンを搭載しているため、エンジンオイルが汚れるとその性能が著しく低下します。
汚れたオイルはエンジン内部の摩耗を促進し、エンジンの寿命を縮める原因となります。
潤滑性能が低下すると、エンジン内部の摩擦が増加し、部品の摩耗が進みます。
また、油路が詰まることでオイルの循環が悪くなり、エンジン全体の冷却性能も低下します。
ゴム製品の劣化は、特にBMWのような高性能車においては深刻な問題です。
シール類が劣化すると、エンジンオイルが燃焼室に漏れ込みます。
これにより、エンジンオイルの燃焼効率が低下し、エンジンのパフォーマンスが悪化します。
また、オイルが燃焼することで排気ガスが汚れ、環境にも悪影響を及ぼします。
エンジンオイルが燃焼室に入ると、燃料と一緒に燃えて廃棄されてしまいます。
これにより、エンジンオイルの量が減少し、潤滑性能がさらに低下します。
BMWのエンジンは高温で動作するため、オイルの減少は重大な問題となります。
エンジンオイルの量が減ると、エンジン内部の潤滑が不十分になり、部品同士の摩擦が増加します。
これにより、エンジンの摩耗が進み、最終的にはエンジンが故障するリスクが高まります。
潤滑が不十分な状態が続くと、エンジン内部の部品が摩耗しやすくなります。
特にBMWのエンジンは精密に作られているため、摩耗が進むと修理が難しく、高額な修理費用がかかることがあります。
最終的に、エンジンオイルの交換を怠ることでエンジンに深刻なダメージを与え、故障に至る可能性があります。
BMWのエンジンは高性能であるがゆえに、適切なメンテナンスが欠かせません。
定期的なオイル交換を行うことで、エンジンの寿命を延ばし、最適なパフォーマンスを維持することができます。
BMWのエンジンオイルの7つの役割
エンジンオイルには、大きく分けて7つの役割があります。
潤滑作用
BMWの心臓部ともいえるエンジンは、多くの部品で構成されており、それぞれの部品が連携してBMWのエンジンを駆動しています。
これらの部品が接触して動くと接触面に摩擦が発生しますが、エンジンオイルはその接触面に油膜を作ることで摩擦を減らし、部品を保護する役割があります。
冷却作用
摩擦があるところでは、必ず摩擦熱が発生するため、エンジンオイルでその摩擦熱を吸収し、エンジンやその部品を冷却する効果もあります。
緩衝作用
ベアリングやギアなどのエンジン部品は、その接点(点接触、線接触)で非常に高い圧力を受けています。
局所的に高い圧力が長時間かかると部品が破損します。
エンジンオイルはこの圧力を分散させ、衝撃を吸収する効果もあります。
防錆作用
エンジンオイルは、金属の表面に薄い膜を形成するため、空気や水分がエンジン本体に直接触れるのを防ぎ、錆の予防にもなります。
密封作用
エンジンやコンプレッサーが正常に動作するためには、気密性が重要ですが、エンジンオイルはこれらの部品の間に入り込むため、気密性が高まります。
清浄作用
エンジンやギアなどの稼動部品には、エンジンの回転に伴って発生する金属粉やカーボンなどのゴミが蓄積されます。
エンジンオイルは、これらのゴミの粒子を浮遊させ、油路に堆積しない役割も担っています。
酸中和作用
エンジン内では、燃焼によって発生する腐食性の強い酸性ガスがオイルに混入します。
エンジンオイルはその酸を中和する役割もあります。
BMWのエンジンオイルの適切な交換頻度
エンジンオイルの適切な交換頻度は、エンジンオイルの種類にもよりますが、走行距離や頻度に関わらず、3,000~10,000km、または6ヶ月が目安です。
ほとんどBMWに乗らない方のエンジンオイル交換
BMWに乗っていても、短距離しか乗らなかったり、月に数回しか乗らない方もおられると思います。
そうした方によくありがちなのは、オイル交換の必要性を考えないことです。
これは大きな間違いで、エンジンオイルは酸化して腐るため、走行距離や頻度に関係なく、最低一年に一度はオイル交換をするように心がけてください。
当整備工場のエンジンオイルの交換の推奨は5,000km毎
当整備工場では、BMWのオイルは5,000kmごとの交換を推奨しています。
具体的には、長距離を頻繁に走る方は10,000km、また短距離を走る方は5,000kmを目安に交換されるのがおすすめです。
また、BMWはフックスなどの最高級エンジンオイル(全合成油)を使用することが多いですが、だからといって交換頻度が延ばせるわけでもなく、延ばすとオイルの劣化などにより、エンジンに負担を与えてしまうため、同じ頻度で交換するように心がけてください。
BMWのおすすめのエンジンオイルの種類と選び方
カー用品店に行くと、たくさんの種類のエンジンオイルがさまざまな価格で売られていますが、エンジンオイルの分類には、3つの基準があります。
エンジンオイルの種類3つ
エンジンオイルは主に原油から精製されます。
精製方法によって鉱油と合成油の2種類に分類され、これら2つのオイルを混合したものを第3のオイルとして部分合成油に分類されます。
鉱物油
鉱物油は、簡単に製造できるため安価です。
ただし、オイルの分子が不均一なため、不純物が多くBMWのエンジンには使わないでください。
部分化学合成油
鉱物油と合成油を混ぜたものなので、BMWには使用しない方がいいです。
国産車であればこちらでも問題ないですが、あまりおすすめはできません。
化学合成油
合成油は、原油を化学的に分解・精製して作られるため、オイルの分子が均一に並ぶ、不純物が少ないエンジンオイルで価格は高めです。
潤滑性能が非常に高く、エンジンへの負担が軽減されるため、BMWユーザーにはこちらをおすすめしています。
その中でもFUCHSのTITAN GT1 FLEX 3 5W-40は100%の化学合成油です。
燃料およびエンジンオイルの消費を低減してくれ、優れた安定性を確保してくれます。
当整備工場でも使用しているBMW認定の最高峰のエンジンオイルです。
一方のBMW認定以外のエンジンオイルを使用し万が一エンジンが故障した場合、BMWの規格に合格しているわけではないオイルのため、BMWの保証などの範囲外となってしまう可能性が有ります。
BMWのエンジンオイルの交換の必要性とおすすめのエンジンオイルのまとめ
エンジンオイルは人間の血液と同じです。
サラサラに保つことで、エンジン内部の臓器を詰まらせることなく、正常に働かせることができるのです。
一方、エンジンオイルの交換を怠ると、不健康な食生活によって血液がドロドロになるのと同じように、エンジンオイルもドロドロになり、エンジン自体に悪影響を及ぼします。
特にBMWのような輸入車のエンジンは複雑な構造をしているため、少しの不純物で故障の原因となってしまいます。
当整備工場の基準では、BMWのオイルは5,000kmごとの交換を推奨しています。
具体的には、長距離を頻繁に走る方は10,000km、また短距離を走る方は5,000kmを目安に交換されればBMWのメンテナンスとしては確実でしょう。
また使用するエンジンオイルはできる限り、BMW認証の化学合成油を使用するように心がけましょう。