この記事をご覧のBMWユーザーの皆様の中には、エンジンルームからの異臭やオイル漏れの痕跡を発見して、シリンダーヘッドカバーガスケットについて気になっている方もおられることだと思います。
シリンダーヘッドカバーガスケットは、エンジン内部のオイルが外に漏れ出すのを防ぐ重要な役割を担っており、BMWエンジンの正常な動作に必要不可欠な部品です。
この部品が劣化してオイル漏れが発生すると、エンジンルームから白煙が出たり焦げくさい臭いがしたりと、重大なエンジントラブルにつながる危険性があります。
そこで今回は、BMWのシリンダーヘッドカバーガスケットについて、オイル漏れの症状から適切な交換時期、さらには部品選びまで、BMW整備士の経験をもとに分かりやすく解説してみたいと思います。
記事の後半では、実際の交換手順もご紹介しますので、BMWメンテナンスの参考にしていただければ幸いです。
Yusuke Yotsuda
この記事を書いたスタッフ
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BMWグループ認定 保有資格
目次
シリンダーヘッドカバーガスケットに関する基礎知識
シリンダーヘッドカバーガスケットを交換する様子
シリンダーヘッドカバーガスケットは、エンジン上部のカバーとエンジン本体の間に挟まれて、オイルの密封を担う重要な部品です。
その構造には、ステンレススチールやゴム系材料、特殊樹脂など高温・化学物質に強い材料が何層にも重ねられており、BMW独自の先進技術が活用されています。
内側には油に対して密着力の高い材料、外側には高温や振動に強い材料を使った多層構造により、BMWの高性能エンジンが求める精密な密封性能を実現しています。
しかし、エンジンの熱サイクルや時間経過により徐々に硬化や収縮が進み、最終的には密封性能が低下してしまいます。
特にBMWの高圧縮比エンジンでは、シール品質がエンジン全体の性能に直結するため、適切な部品選びと交換時期の見極めが重要となります。
【OEM部品】BMWにおすすめのElring(エルリング)ヘッドカバーガスケット
BMWのエンジンは高性能だからこそ、シールの品質がとても重要なんです。適切な部品選びが長持ちの秘訣です。
シリンダーヘッドカバーガスケットの劣化で起こる主な症状と交換時期
劣化したシリンダーヘッドカバーガスケット
ガスケットの劣化が進むと、ドライバーが実感できる明確な症状として現れます。
最も分かりやすいのは、エンジンルームからの焦げくさい臭いや車内への嫌な臭いの侵入で、これは漏れたオイルが高温部品に触れて焼ける現象です。
症状が進行すると、エンジンルームから白煙が発生し、ダッシュボードにオイル警告灯が点灯したり、異音が聞こえるようになります。
BMW業界での報告では、交換時期は50,000~70,000km程度が目安とされていますが、都市部での短距離走行では温度変化が激しく早期交換が必要となる一方、高速道路中心の使用では若干長持ちする傾向があります。
特にBMW 3シリーズや5シリーズでは60,000km前後でヘッドカバー周辺からのオイル滲みが多く報告されており、この段階での予防的交換が推奨されています。
放置すると修理費用が高額になるため、早めの対応が重要です。
オイル警告灯が点いたり異音がする場合は、エンジンに大きなダメージを与える前に早めの点検をおすすめします。
シリンダーヘッドカバーガスケットの交換手順
BMWのシリンダーヘッドカバーガスケット交換は、安全に直結する重要な作業のため、専門の整備工場での作業を強く推奨します。
参考として、基本的な手順をご紹介します。
STEP
事前準備と安全対策
バッテリーのマイナス端子を外す
まず安全のため、バッテリーのマイナス端子を外します。
続いて、エンジンを完全に冷却し、エンジンルーム周辺のカバー類(遮音カバー、エアクリーナーボックスなど)を順次取り外していきます。
安全作業のためにバッテリー端子を外すのは必須です。また、エンジンが熱い状態での作業は危険なので、必ず冷却してから作業を開始します。
STEP
燃料システム関連部品の取り外し
インジェクターを取り外す
燃料の高圧レール(燃料を各シリンダーに送る部品)とインジェクター(燃料噴射装置)を慎重に取り外します。
この際、燃料システムの圧力を適切に抜き、清潔な環境で作業することが重要です。
STEP
古いシリンダーヘッドカバーの取り外し
古いシリンダーヘッドカバーの取り外す
シリンダーヘッドカバーを固定しているボルトを、指定された順序で慎重に外していきます。
古いガスケットやシール材が残っている場合は、専用の清掃工具を使って丁寧に除去し、接触面を完全に清潔にします。
STEP
新しいガスケットの取り付け
Elring(エルリング)製のシリンダーヘッドカバーガスケット
新しいシリンダーヘッドカバーガスケットを正確な位置に配置し、シリンダーヘッドカバーを慎重に取り付けます。
ボルトは必ず指定されたトルク値と締め付け順序に従って取り付けることが重要です。
STEP
最終確認とテスト
エンジンカバーを取り付け、バッテリーを接続する
すべての部品を逆の手順で元に戻し、バッテリーを再接続したら、エンジンを始動して動作確認を行います。
専用テスターでエラーコードをリセットし、オイル漏れがないことを確認して作業完了です。
シリンダーヘッドカバーガスケットの交換は燃料システムや電気系統を扱う複雑な作業のため、専門の整備工場での作業を強くおすすめします。
BMWのシリンダーヘッドカバーガスケットの交換でよくあるトラブル事例
- ガスケット交換後すぐにオイル漏れが再発
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2021年式BMW 320dで、ガスケット交換から1ヶ月後に再度オイル漏れが発生した事例です。原因は、シリンダーヘッドカバー本体の変形を見落としていたため、新しいガスケットも正常に密封できませんでした。もう一度ガスケットの交換が必要になりました。
- 締め付けトルク不足による早期故障
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BMW X3で、交換作業時にボルトの締め付けトルクが不足していたため、わずか数千キロでガスケットが損傷した事例です。BMWでは特に正確な締め付け順序とトルク管理が重要で、専用トルクレンチによる段階的な締め付けが必要です。
- 清掃不良による密封性の低下
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BMW 5シリーズで、古いガスケット材の除去が不完分だったため、新しいガスケットが正常に接触せず、取り付け直後からオイル漏れが発生した事例です。特にBMWでは接触面の平面度が重要で、わずかな凹凸も密封性に大きく影響します。
- 低品質部品による繰り返し故障
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コストを重視して安価な社外ガスケットを使用したBMW 318iで、わずか1万キロで再度交換が必要となった事例です。高温環境での耐久性が不足していたため、短期間で硬化・収縮が進行しました。結果的に再交換費用でコストが増大しました。
- 部品取り付け順序の間違いによる燃料システム故障
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BMW 523dで、インジェクターを取り付けるシリンダーを間違えたため、エンジン不調が発生した事例です。ガスケット交換自体は成功したものの、複雑な燃料システムの組み立て順序を間違えたため、追加の作業が必要となりました。
BMWにおすすめのシリンダーヘッドカバーガスケットとまとめ
Elring(エルリング)製のシリンダーヘッドカバーガスケット
【OEM部品】BMWにおすすめのElring(エルリング)ヘッドカバーガスケット
今回は、BMWのシリンダーヘッドカバーガスケットについて、その重要性から交換時期、部品選びまで詳しく解説いたしました。
シリンダーヘッドカバーガスケットはBMWエンジンの正常な動作に必要不可欠な部品であり、適切なタイミングでの交換がエンジンの長寿命化につながります。
部品選びでは、純正部品が最も信頼性が高い選択肢ですが、OEM部品のElring(エルリング)製品も一定の品質を保ちながらコストを抑えることができる選択肢となります。
50,000~70,000kmを目安に、焦げくさい臭いやオイル漏れの兆候を発見された場合は、エンジンに大きなダメージを与える前に速やかな点検と適切な対処を行うことが重要です。
BMWユーザーの皆様が安心で快適なBMWライフを送れるよう、まずは定期的な点検から始めてみてください。
- シリンダーヘッドカバーガスケットの重要性: エンジン内部のオイル漏れを防ぐ重要な部品で、BMWエンジンの正常な動作に必要不可欠な役割を担っている
- 交換時期の目安: BMW業界では一般的に50,000~70,000km程度での交換が推奨され、焦げくさい臭いやオイル警告灯が交換のサイン
- 劣化による深刻な影響: 放置するとエンジンルームからの白煙や異音だけでなく、重大なエンジントラブルや高額な修理費用につながる危険性
- 部品選びの考慮点: 純正部品が最も信頼性が高いが、Elring(エルリング)製のOEM部品も一定の品質を保ちながらコストを抑えられる選択肢となる(保証条件要確認)
- 予防的メンテナンスの実践: 6ヶ月に一度の定期点検から始めて、早期発見と適切な対処で安全で快適なBMWライフを実現
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