BMWは故障しやすい?壊れやすい部位とその理由を徹底解説
この記事をご覧の皆様の中には、BMWの故障について心配されている方もいらっしゃることと思います。
BMWは高性能で洗練された車両として世界中で愛されていますが、精密な設計がゆえに適切なメンテナンスを怠ると故障のリスクが高まる可能性があります。
特に故障を放置すると、安全性に関わる重大なトラブルや高額な修理費用の発生につながる危険性があるため注意が必要です。
そこで今回は、BMWで起こりやすい故障の原因や対策について、故障しやすい箇所や修理費用の詳細など、実用的な情報をお伝えします。
BMW整備士の経験をもとに、故障のメカニズムから予防策まで幅広く網羅した内容となっております。
愛車を長く安心してお乗りいただくための故障対策について解説してみたいと思います。
Yusuke Yotsuda
この記事を書いたスタッフ
GNARLY automobile(ナーリー オートモービル)のホームページをご覧いただき誠にありがとうございます!私はこの大好きなBMW/MINIの整備を通じて、お車のサポートは勿論、お客様とより良いお付き合いをさせて頂ければと思っております。その様な関係を築ける様、精一杯のサービスをご提供させていただきますのでお気軽にご相談ください。
BMWグループ認定 保有資格
目次
BMWの基礎知識と故障しやすい理由
BMWのロゴ
BMWは「駆け抜ける歓び」をブランドコンセプトに掲げるドイツの高級車メーカーで、革新的なバルブトロニック技術やiDriveシステムなど、独自の先進技術により他メーカーとは一線を画すドライビングプレジャーを提供しています。
この高度な技術と精密な設計が魅力である一方で、BMWが故障しやすいと言われる理由も存在します。
最大の要因は、設計・製造がヨーロッパの気候条件を基準としていることです。
日本の高温多湿な環境では、ゴムや樹脂製部品に加水分解という化学反応が起こりやすく、材料の分子構造が破壊されることで劣化が加速されます。
また、BMW独自の高精度設計により部品間のクリアランスが極めて小さく設計されているため、わずかな部品の変形や劣化でも機能に影響を与えやすく、故障として表面化しやすい特性があります。
BMW車の故障は決して「欠陥」ではなく、精密な機械ゆえの特性です。この特性を理解し、適切なメンテナンスを行うことで、BMW本来の素晴らしい走行性能を長く楽しむことができます。
BMWの故障しやすい部位
BMW 3シリーズ G21 318iの整備風景
BMW整備の現場では、特定の部位に集中して故障が発生する傾向が見られます。
これらの故障は、先述した気候要因や設計特性に起因するものが多く、予防的なメンテナンスにより回避できる場合も少なくありません。
以下では、当整備工場で特に修理依頼の多い箇所について、原因と修理費用の詳細をご紹介します。
エンジンオイル漏れによるガスケット・シール類の交換
シリンダーヘッドカバーガスケットを交換する作業風景
エンジンオイル漏れは、BMWで最も頻繁に発生する故障の一つです。
主な原因は、エンジンヘッドガスケット、オイルパンガスケット、バルブカバーガスケットなどのシール部品の経年劣化にあります。
BMW車では走行距離50,000~100,000kmを境に、これらのガスケット類が劣化し始める傾向があります。
エンジンオイル漏れを放置すると、オイル量の減少によりエンジン内部の潤滑不良が発生し、最悪の場合はエンジンブローという致命的な故障につながる危険性があります。
また、漏れたオイルが高温の排気系部品に付着すると、発火の原因となる可能性もあるため、早急な対応が必要です。
| 項目 | 費用 | 備考 |
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| 部品代 | 約70,000円 | ガスケット・シール類 |
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| 工賃 | 約30,000円 | エンジン分解組立費 |
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| 合計費用 | 100,000円程度 | BMW正規ディーラー価格 |
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| 修理期間 | 2~3日間 | 診断・リセット込み |
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修理費用と修理期間
エンジン不調によるイグニッションコイルの交換
イグニッションコイルを交換する様子
イニッションコイルの不調は、BMW車で走行距離50,000~100,000kmの時期に多発する故障です。
BMW独自の高圧縮比エンジンでは、点火系統に大きな負荷がかかるため、イグニッションコイルが他車種に比べて早期に劣化する傾向があります。
故障の兆候として、アイドリング時の振動増加、加速不良、エンジンの振動、そして燃費の悪化が挙げられます。
イグニッションコイルの故障を放置すると、エンジンの振動により触媒を傷めてしまい、触媒の交換が必要になり、高額な修理が必要になる場合があります。
BMW車では、1本のコイルが故障すると他のコイルも同じように故障するリスクが高いため、一般的に6気筒エンジンの場合は6本全てを同時交換することが推奨されています。
| 項目 | 費用 | 備考 |
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| 部品代 | 約90,000円 | 6本セット(純正部品) |
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| 工賃 | 約20,000円 | 交換・調整作業費 |
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| 合計費用 | 120,000円程度 | BMW正規ディーラー価格 |
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| 修理期間 | 1日間 | 部品在庫状況による |
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修理費用と修理期間
ステアリング不調によるドライブシャフトブーツの劣化
破損したドライブシャフトブーツの様子
ドライブシャフトブーツの劣化は、BMW車の走行距離70,000~120,000kmで頻発する故障です。
特にFF(前輪駆動)車両やxDrive(四輪駆動)車両では、ステアリング操作時のタイヤ角度変化により、ドライブシャフトブーツに大きな負荷がかかります。
ブーツが破損すると、内部の等速ジョイント用グリスが漏れ出し、異物が侵入することで等速ジョイント自体が焼き付きを起こしたりします。
症状としては、ハンドルを切った状態での発進時に「カタカタ」「ゴリゴリ」という異音が発生し、放置すると走行中にドライブシャフトが破損する危険性があります。
ドライブシャフトの破損は走行不能につながり、さらに車検不適合項目でもあるため、早期の修理が不可欠です。
| 項目 | 費用 | 備考 |
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| 部品代 | 約120,000円 | ドライブシャフトASSY |
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| 工賃 | 約80,000円 | 交換・調整作業費 |
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| 合計費用 | 200,000円程度 | BMW正規ディーラー価格 |
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| 修理期間 | 1~2日間 | アライメント調整含む |
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修理費用と修理期間
エアサス落ちによるエアサスペンションの交換
エアサスペンションを交換する様子
エアサス落ちは、BMW 7シリーズやX5、X6などのエアサスペンション装着車で発生する特有の故障です。
走行距離50,000~100,000kmを境に、エアサスペンション用ベローズ(エアバッグ)の劣化やエアコンプレッサーの不調により発生します。
症状としては、車両の一部または全体が異常に低い車高になり、「車高警告」「サスペンション異常」などの警告メッセージが表示されます。
エアサス落ちの状態では、車体と路面のクリアランスが不足し、段差での車体損傷リスクが高まります。
また、走行安定性が著しく悪化するため、高速道路の走行は非常に危険で、早急な修理が必要です。
| 項目 | 費用 | 備考 |
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| 部品代 | 約1,200,000円 | エアサス一式交換 |
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| 工賃 | 約300,000円 | システム交換作業費 |
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| 合計費用 | 1,500,000円程度 | BMW正規ディーラー価格 |
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| 修理期間 | 3~5日間 | 部品調達・調整期間 |
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修理費用と修理期間
カーナビのブラックアウトによるiDriveユニットの交換
カーナビのブラックアウトでiDriveユニットを交換する様子
カーナビのブラックアウトは、BMW車で年式問わず発生する電子系統の故障です。
特に地デジチューナーやバックカメラを後付けした車両で発生頻度が高く、社外インターフェースの不具合やiDriveシステム本体の故障が主な原因となります。
症状としては、iDriveディスプレイが完全に真っ黒になる、タッチ操作に反応しない、システムが頻繁に再起動するなどがあります。
この故障により、ナビゲーション、オーディオ、エアコン操作、車両設定などの機能が全て使用不能になります。
現代のBMW車ではiDriveシステムが車両の多くの機能を統合制御しているため、この故障は利便性を大幅に損なう重要な問題です。
| 項目 | 費用 | 備考 |
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| 部品代 | 約350,000円 | iDriveユニット交換 |
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| 工賃 | 約150,000円 | 交換・プログラミング費 |
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| 合計費用 | 500,000円程度 | BMW正規ディーラー価格 |
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| 整備期間 | 2~3日間 | プログラミング時間含む |
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修理費用と修理期間
これらの故障は、いずれも早期発見・早期対応により修理費用を抑えることができます。定期点検での予防的なメンテナンスが、結果的に経済的負担を軽減する最良の方法です。
BMWを修理する際の注意点
テスターにてBMWを診断している様子
BMWの修理を検討する際は、修理先の選択によって大きく費用と品質が変わるため、慎重な判断が必要です。
BMW正規ディーラーでは純正部品と高度な技術を提供する一方で、高額な見積もりにより車両の乗り換えを勧められる場合がありますが、この際は冷静な判断が重要です。
特にエアサスペンション修理のような高額修理では、150万円を超える見積もりが提示されることもあり、車両価値との比較検討が必要になります。
一方、民間の整備工場では費用を抑えることが可能ですが、極端に安価な見積もりの場合は、並行輸入部品や社外品の使用による品質リスクに注意しなければなりません。
並行輸入部品は純正部品と比較して品質にばらつきがあり、故障の再発率が非常に高い傾向があります。
理想的な修理先は、BMW専門の整備工場で純正部品または純正相当品を使用し、適正な価格設定を行っている工場です。
修理依頼前には、使用部品の詳細、保証内容、技術者の資格について十分に確認し、複数の工場から見積もりを取得して比較検討することをお勧めします。
修理先選びは愛車の今後を左右する重要な決断です。価格だけでなく、技術力・使用部品・保証内容を総合的に判断し、長期的な視点で最適な選択をしてください。
BMWは故障を修理する際の注意点のまとめ
BMW 6シリーズ F13のスパークプラグを交換する作業風景
今回は、BMWに故障が多いと言われる理由について、BMW整備士の視点から詳しく解説いたしました。
BMWの故障の根本的な原因は、ヨーロッパの気候条件を基準とした設計が、日本の高温多湿な環境に完全に適応しきれていないことにあります。
特に、ゴムや樹脂製部品の加水分解による劣化が、エンジンオイル漏れやドライブシャフトブーツ破損などの代表的な故障を引き起こす主要因となっています。
また、BMWの高精度な設計思想により、わずかな部品劣化でも機能に影響を与えやすいという特性も、故障頻度を高める要因の一つです。
修理費用については、エンジンオイル漏れで約10万円、イグニッションコイル交換で約12万円、ドライブシャフト交換で約20万円、エアサス修理では最大150万円という高額な費用が発生する可能性があります。
しかし、これらの故障の多くは予防的なメンテナンスにより回避可能です。
特に走行距離が増えてきた車両は、定期点検の頻度を高め、ゴム・樹脂部品の状態を注意深く点検することが重要です。
BMW車は確かにメンテナンスコストが高い傾向にありますが、適切な予防整備により長期間にわたって優れた走行性能を維持できる優秀な車両でもあります。
愛車との長いお付き合いのために、定期的な専門整備工場での点検をお勧めいたします。
BMW整備士として多くの車両を見てきましたが、適切なメンテナンスを受けている車両は本当に長持ちします。愛車を大切にしていただければ、BMWは必ずその期待に応えてくれる素晴らしい車です。
- BMWの故障は日本の高温多湿な気候がゴム・樹脂部品の加水分解を促進することが主要因で、ヨーロッパ基準の設計では走行距離50,000~100,000kmで各種劣化による故障が多発する傾向がある
- 代表的な故障箇所はエンジンオイル漏れ(約10万円)、イグニッションコイル不調(約12万円)、ドライブシャフトブーツ劣化(約20万円)、エアサス落ち(約150万円)、カーナビブラックアウト(約50万円)で、いずれも高額修理となる
- 正規ディーラーでは高額見積もりで乗り換えを勧められる場合があり、一方で民間工場の極端に安い修理は安価なノーブランド製部品使用による故障再発リスクが高いため、修理先選択には注意が必要
- 故障の多くは予防的メンテナンスで回避可能で、特に走行距離が増えてきた車両は1年に1回の専門整備工場での定期点検により、重大な故障を未然に防ぐことができる
- 専門店による高額買取
- 不動車や事故車なんでも買取
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