BMWにお乗りの皆様の中には、車高が下がってしまったり、シャシー異常の警告灯が点灯したりといったご経験をされた方も多いのではないでしょうか。
エアサスペンションシステムは快適な乗り心地を提供する高度な技術ですが、その分トラブルも発生しやすい部分となっています。
エアサスが落ちを放置すると、車体底部の損傷や走行性能の低下、さらには安全性に関わる重大なトラブルにつながる危険性があります。
この記事では、BMW整備士の経験をもとに、エアサスが落ちる症状の種類と原因、適切な対処法から修理費用の目安まで詳しく解説してみたいと思います。
愛車のエアサスペンショントラブルを早期に解決し、快適で安全なドライブを取り戻すためのお役に立てれば幸いです。
目次
症状別に見るエアサストラブルの原因と特徴
エアサスペンションシステムの不具合は、症状の現れ方によっていくつかのパターンに分類されます。
症状のパターンから原因を推測することで、故障箇所を特定し、適切な修理方法を選択することが可能になります。
以下に代表的な症状パターンと、その原因をご紹介いたします。
▲エアサスの不具合により車高が落ちているBMW 5シリーズ F11
駐車中に緩やかに車高が下がる場合
駐車後数時間から一晩ほど経過すると、徐々に車高が下がってしまう症状は、エアサスペンショントラブルの中でも最も一般的なパターンです。
この症状の主な原因は、エアスプリング本体の経年劣化です。
エアスプリングはゴム製のエアーバッグに圧縮空気を充填する構造のため、長期間の使用によりゴム部分に微細な亀裂や破損が発生し、少しずつ空気が漏れ出していきます。
特にBMWでは、走行距離が10万キロを超えると、エアスプリングの劣化が顕著になるケースが多く見られます。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| エアスプリング交換(1輪) | 50,000~250,000円 |
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特定の車輪のみ車高が下がる場合
四輪のうち特定の一輪または二輪だけが下がってしまう症状は、片側だけが下がることで車体が傾いた状態になるため、視覚的にも分かりやすく早期発見しやすい症状です。
この症状は、該当する車輪のエアスプリングの劣化、またはバルブブロックの機能不全が原因として考えられます。
バルブブロックは各車輪への空気の供給と排出を制御する複雑な弁機構で、内部のバルブが固着すると、特定の車輪だけ空気が供給されなかったり、排気ができず車高が高くなりすぎたりする症状が発生します。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| バルブブロック交換 | 30,000~50,000円 |
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車高調整機能が完全に停止する場合
BMWのエアサスペンションには自動車高調整機能が搭載されており、走行状態や積載状況に応じて最適な車高を維持します。
調整機能そのものが停止し警告灯が点灯する症状は、エアコンプレッサーの故障が主な原因です。
エアコンプレッサーはシステム全体に圧縮空気を供給する心臓部ともいえる重要な部品で、長期間の使用により内部のバルブが固着すると、圧縮空気を供給できなくなったり、排気し続けたりといった症状で車高維持ができなくなります。
また、コンプレッサーが頻繁に作動するようになり、異音が発生するケースも多くあります。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| コンプレッサー交換 | 100,000~250,000円 |
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車高が不安定または誤作動する場合
車高が上がりすぎたり下がりすぎたり、または不規則に変動する症状は、制御系統の問題を示唆しています。
この症状の主な原因は、車高センサーの故障です。
BMWのエアサスペンションシステムは各車輪に取り付けられた車高センサーで現在の車高を監視しており、センサーが故障するとシステムが正確な車高を認識できず、誤った制御を行ってしまいます。
センサーのリンク部分の破損や、電気接点の腐食による信号不良が主な原因となっています。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| 車高センサー交換 | 20,000~50,000円 |
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急激な車高低下と警告表示が出る場合
走行中や駐車直後に急激に車高が下がり、同時に複数の警告灯が点灯する症状は、重大なシステム不良のサインです。
エアスプリングの破損や大きなエア漏れ、電気系統の重大な故障が考えられ、早急な対応が必要となります。
G11など一部の車両では、コンプレッサーから各エアスプリングまでエアを送る配管とサスペンション本体の間に圧力保持バルブがあり、この部品が故障するとコンプレッサーが停止した際に車高が急激に下がる症状が発生します。
複数の原因が同時に発生している場合もあるため、専用診断機による総合的な診断で根本原因を特定することが重要です。症状がいつどのような状況で発生するかを詳しく観察し、記録しておくと診断の助けになります。
故障箇所の特定方法と診断手順
▲BMWのエアサス交換の様子
エアサスペンションの故障診断は、段階的なアプローチにより効率的に原因を特定することができます。
適切な診断手順を踏むことで、修理時間の短縮と費用の最適化を実現できるため、専門的な診断が重要です。
STEP
症状の詳細確認と目視点検
まず、エアサスペンションの動作状況を詳しく確認し、症状のパターンを把握します。
どの車輪で問題が発生しているか、症状の発生タイミング、警告灯の点灯状況など、具体的な情報を収集します。
また、エアスプリング表面の亀裂や損傷、配管の状態を目視で確認することで、明らかな不具合を早期発見できます。
STEP
専用診断機によるシステムチェック
BMW専用診断機を使用して、エアサスペンションシステム全体の状態を確認します。
エラーコードの読み取り、各センサーの数値確認、コンプレッサーの作動状況を詳細に分析します。
診断機からバルブを個別に制御することで、各車輪のエアスプリングやバルブブロックの動作確認も実施できます。
STEP
エア漏れの特定作業
システムに圧縮空気を充填した状態で、石鹸水などを使用してエア漏れ箇所を特定します。
エアスプリング本体、配管接続部、バルブブロック周辺など、システム全体を丁寧に点検していきます。
微細な漏れでも時間をかけて観察することで、原因箇所を正確に把握することができます。
STEP
電気系統の点検と測定
コンプレッサーやバルブブロックへの電源供給、車高センサーの信号を測定します。
電圧・電流値の測定、配線の導通確認、コネクターの接触状態チェックにより、電気的な不具合を診断します。
センサー信号の異常や、コンプレッサーの電源供給の異常などを確認することで、故障部品を特定できます。
正確な診断のためには、専門知識と適切な工具が必要です。複雑な症状の場合は、BMW専門の整備工場での診断をおすすめします。
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まとめ:エアサスが落ちる症状の診断方法を元BMW整備士が解説
▲リビルトで取り外したアッパーマウント点検の様子
BMWのエアサスペンションが落ちる症状には、早期発見と適切な対処が何より重要です。
駐車中の緩やかな車高低下であればエアスプリングの劣化、特定車輪のみが下がる場合はバルブブロックの不具合、車高調整機能の停止はコンプレッサーの故障といった症状のパターンを正しく把握することで、原因をある程度推測することが可能です。
ただし、複数の原因が同時に発生しているケースも少なくないため、段階的な診断アプローチが欠かせません。
修理費用はエアスプリング交換で5万〜25万円、コンプレッサー交換で10万〜25万円と決して安くはありませんが、定期的な目視点検やエアスプリング表面の清掃、年1回の専門点検といった予防メンテナンスを行うことで、こうした高額修理を回避しながらシステムの寿命を延ばすことができるでしょう。
予防メンテナンスにかかる費用は、故障修理の費用と比較すると非常に安価です。なお、部品交換が必要な場合は、品質と保証が確保された正規ルートでの購入をおすすめします。
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