BMWやMINIにお乗りの皆様の中には、エンジンから聞き慣れない異音が発生してお困りの方も多いのではないでしょうか。
エンジン作動時の異音は、車両の健康状態を示す重要なサインであり、放置すると深刻なトラブルにつながる可能性があります。
異音の種類や発生タイミングによって原因が異なり、適切な診断と早期対応が車両の寿命を大きく左右するため、症状を正しく理解することが重要です。
この記事では、BMW・MINI整備士の経験をもとに、エンジン作動時に発生する異音の種類と原因、適切な対処法から修理費用の目安まで詳しく解説してみたいと思います。
愛車のエンジン異音トラブルを早期に解決し、安心してドライブを楽しむためのお役に立てれば幸いです。
目次
症状別に見るエンジン異音の原因と特徴
エンジンから発生する異音は、音の特徴や発生タイミングによっていくつかのパターンに分類されます。
異音のパターンから原因を推測することで、故障箇所を特定し、適切な修理方法を選択することが可能になります。
以下に代表的な異音のパターンと、その原因をご紹介いたします。
▲テンショナー取り外す前のエンジン内部の様子
「カラカラ」「カチカチ」という周期的な金属音が発生する場合
エンジンから「カラカラ」「カチカチ」といった音が周期的に鳴る異音は、エンジン内部の回転部品に問題があることを示しています。
この症状の主な原因は、タイミングチェーンの伸びや摩耗です。
タイミングチェーンはエンジンの心臓部ともいえる重要な部品で、チェーンが伸びたりガイドレールが摩耗すると異音が発生します。
また、バルブクリアランスの異常やカムシャフトの摩耗も原因として考えられます。
放置するとバルブタイミングのずれによるエンジン不調や、最悪の場合はエンジン内部の深刻な損傷につながるため、早急な対応が必要です。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| タイミングチェーン交換 | 150,000~300,000円 |
修理費用の目安(工賃込み)
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「キュルキュル」という高音が発生する場合
▲テンショナーのガタついている様子
「キュルキュル」といった甲高い異音は、ベルト系統のトラブルを示しています。
この症状の主な原因は、補機ベルトの劣化やテンショナーの不具合です。
エンジンの補機を駆動するベルトは長期間の使用により劣化や伸びが発生し、ベルト表面にひび割れが生じたり、テンショナーの動きが悪くなると適切な張力が保てず異音が発生します。
特にエンジン始動直後や雨天時に音が大きくなる場合は、ベルト系統のトラブルである可能性が高くなります。
BMWやMINIでは、走行距離や使用年数に応じた定期的なベルト交換が推奨されています。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| 補機ベルト交換 | 15,000~30,000円 |
| テンショナー交換 | 30,000~50,000円 |
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「ゴロゴロ」「ウィーン」という異音が発生する場合
▲ウォーターポンプキャリアおよびクーラントパイプ交換後のエンジン内部の様子
「ゴロゴロ」や「ウィーン」という異音は、回転部品のベアリングに問題があることを示しています。
この症状の主な原因は、ウォーターポンプやオルタネーターなどの補機類のベアリング摩耗です。
これらの補機類には回転部分にベアリングが使用されており、長期間の使用により摩耗が進行します。
ベアリングの摩耗が進むと異音が徐々に大きくなり、最終的には部品の焼き付きや破損につながります。
異音を感じたら早めの点検が重要です。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| ウォーターポンプ交換 | 60,000~100,000円 |
修理費用の目安(工賃込み)
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「ゴロゴロ」「ガラガラ」という重低音が発生する場合
▲MINIに取り付けてあるエンジンマウントの様子
エンジン始動時に「ゴロゴロ」「ガラガラ」といった重低音の異音が発生する場合は、エンジンの支持系統に問題があることを示しています。
この症状の主な原因は、エンジンマウントの劣化です。
エンジンマウントのゴムブッシュが劣化すると、エンジンが動いてしまいボディーなどに干渉して異音が発生します。
このような症状は放置すると他の部分にも影響が出る場合があるため、早めの点検をおすすめします。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| エンジンマウント交換 | 40,000~80,000円 |
▲修理費用の目安(工賃込み)
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アイドリング時や加速時のみ異音が発生する場合
アイドリング時のみ、あるいは加速時のみ発生する断続的な異音は、特定の運転条件下でのみ顕在化する問題を示しています。
この症状の原因として、エンジンオイルの劣化や油圧不足が考えられます。
エンジンオイルが劣化したり量が不足すると、油圧が低下してエンジン内部の金属同士が直接接触し、異音が発生します。
エンジン回転数や負荷によって音の大きさが変化する場合は、その変化のパターンが故障箇所の特定に重要な手がかりとなります。
オイルポンプの不具合やオイル油路の詰まりも、油圧不足の原因となるため注意が必要です。
| 修理内容 | 費用の目安 |
|---|
| エンジンオイル交換 | 12,000~30,000円 |
▲修理費用の目安(工賃込み)
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複数の原因が同時に発生している場合もあるため、総合的な診断により根本原因を特定することが重要です。異音の種類を正確に伝えるためには、どのような状況で音が発生するか、音の大きさや変化のパターンを詳しく観察し記録しておくと診断がスムーズに進みます。
故障箇所の特定方法と診断手順はどのようなもの?
▲ベルトを取り外しプーリーを1つずつ異音の確認
エンジン異音の故障診断は、段階的なアプローチにより効率的に原因を特定することができます。
適切な診断手順を踏むことで、修理時間の短縮と費用の最適化を実現できるため、専門的な診断が重要です。
STEP
異音の詳細確認と初期診断
まず、エンジンの異音発生状況を詳しく確認し、症状のパターンを把握します。
どのような音質か、エンジン回転数との関係、暖機状態による変化など、具体的な情報を収集します。
また、エンジンオイルの量と状態、冷却水の量なども確認し、基本的なメンテナンス状態を把握します。
STEP
聴診器による異音発生箇所の特定
異音診断用のツールを使用して、エンジン各部の音を詳しく点検します。
シリンダーヘッド、タイミングカバー、オイルパン、補機類など、異音が最も大きく聞こえる箇所を特定します。
また、オルタネータードライブベルト等を一時的に外して音の変化を確認することで、ベルト系統の問題かエンジン本体の問題かを判別できます。
STEP
油圧測定と内部点検
専用の油圧計を使用して、エンジンオイルの圧力を測定します。
規定値より低い場合は、オイルポンプの不良や内部摩耗が疑われます。
必要に応じてタイミングカバーやバルブカバーを開けて、チェーンの伸びやバルブクリアランスなど、内部の状態を直接確認します。
STEP
診断機器による総合診断
BMW専用診断機器を使用して、エンジン制御システムの状態を確認します。
バルブタイミングの学習値、カムシャフトセンサーの信号、エラーコードなどを詳細に分析します。
これらのデータから、機械的な問題だけでなく、制御系統の異常も含めて総合的に診断します。
正確な診断のためには、専門知識と適切な工具が必要です。複雑な症状の場合は、BMW専門の整備工場での診断をおすすめします。
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BMW・MINI純正テスター(診断機)ISTAとは? 診断やプログラミングに必要な理由を元BMW・MINI整備士が解説
BMW・BMWMINI純正診断機ISTAは、EシリーズからGシリーズまで対応し、従来のDISを進化させた総合診断ツールです。汎用機ではカバーしきれない診断基準データ、個別テスト機能、部品交換後の初期学習や同期作業など、BMW・MINIの修理には純正診断機が不可欠であることがお分かりいただけたかと思います。ISTAの主要機能には、全コンピューターのエラーコード読み出しと消去、リアルタイムでの実測値確認、各部品を強制作動させるアクティブテスト、バッテリー交換やパーキングブレーキ制御などのサービス機能、効率的な故障診断をサポートするテストプラン、そして修理マニュアル・配線図の参照とコンピューター交換時のプログラミング機能があります。しかし、診断機はあくまで電子制御部分を対象とした道具であり、オイル漏れや冷却水漏れなどの物理的故障は人の目で確認する必要があります。高機能な診断機と経験豊富なメカニックの知識・技術が組み合わさることで、正確な診断と確実な修理が実現できるのです。BMWやMINIの車検・修理を依頼する際は、純正診断機ISTAを保有し、それを使いこなせる熟練メカニックがいる整備工場を選ぶことが、愛車を長く安心して乗り続けるための重要なポイントとなるでしょう。
まとめ:エンジン作動時の異音の診断方法をBMW・MINI整備士が解説
▲エンジンオイルを交換している様子
BMWやMINIのエンジンから発生する異音には、早期発見と適切な対処が何より重要です。
「カラカラ」という周期的な金属音はタイミングチェーンの伸び、「キュルキュル」という高音は補機ベルトの劣化、「ゴロゴロ」という異音はベアリング摩耗やエンジンマウントの劣化といった異音のパターンから原因をある程度推測することが可能です。
ただし、複数の原因が同時に発生しているケースも少なくないため、段階的な診断アプローチが欠かせません。
修理費用は補機ベルト交換で1.5万円程度から、タイミングチェーン交換で30万円程度と幅がありますが、エンジンオイルの定期交換や補機ベルトの点検、適切な暖機運転、年1回の専門点検といった予防メンテナンスを行うことで、高額修理を回避しながらエンジンの寿命を延ばすことができるでしょう。
異音を放置すると深刻なエンジントラブルにつながる可能性があります。なお、部品交換が必要な場合は、品質と保証が確保された正規ルートでの購入をおすすめします。
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