この記事をご覧のBMWユーザーの皆様の中には、「スマートキーのボタンを押しても反応が鈍くなった」「車のドアロックが効かなくなった」といった経験をお持ちの方もいらっしゃることと思います。
スマートキーは毎日のドアの開閉やエンジンスタートに欠かせない重要なアイテムで、内蔵されたボタン電池の電力でドアロック機能や車両セキュリティ機能を動作させています。
電池が完全に切れてしまうとリモコンが全く反応しなくなり、ドアの開閉やエンジンスタートに不便を強いられるため、早めの対処が必要です。
そこで本記事では、BMWの鍵の電池交換について、交換手順から警告表示への対処方法、必要な道具や注意点まで、BMW整備士の経験をもとに分かりやすく解説してみたいと思います。
Yusuke Yotsuda
この記事を書いたスタッフ
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BMWグループ認定 保有資格
目次
鍵(スマートキー)に関する基礎知識
スマートキー電池残量低下の警告表示
BMWのスマートキーは、先進的な無線通信技術によって車との高度な連携を実現している精密機器です。
キーを持ってドアハンドルに手をかざすだけでドアロックが解除される「コンフォートアクセス」機能や、車両の盗難防止システムと連動した暗号化通信など、現代の自動車技術の粋を集めた設計となっています。
特筆すべきは、BMWが搭載している電池監視システムで、残量低下を事前に察知して画面でお知らせしてくれる親切な仕組みです。
さらに、万が一の電池切れに備えて緊急用の物理キーが内蔵されており、どのような状況でも車両へのアクセスが可能な設計となっています。
このような高度な技術を支えているのが、内部の小さなボタン電池で、正常な動作には適切な電力供給が不可欠となります。
ボタン電池式の鍵(スマートキー)
今回ご紹介する電池交換はこちらのボタン電池式の鍵(スマートキー)です。
現在のBMWで最も一般的なタイプが、CR2032型またはCR2450型のボタン電池を使用するスマートキーです。
このタイプの電池は、正常に使用していれば約1~2年ほど持つとされており、コンビニエンスストアや家電量販店でも手軽に購入できるメリットがあります。
電池交換も比較的簡単で、小さなマイナスドライバーがあれば自分で交換することが可能です。
ただし、品質の低い電池を使用すると液漏れを起こしてキー本体が故障するリスクがあるため、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが重要です。
スクロールできます
BMWのスマートキータイプのリモコン電池【CR2032】
BMWのスマートキータイプのリモコン電池【CR2450】
蓄電池式の鍵(スマートキー)
一部のBMWモデルでは、充電式の蓄電池を内蔵したスマートキーが採用されています。
このタイプは車両のワイヤレス充電パッドやUSB端子を使って充電が可能で、環境に配慮した設計となっているのが特徴です。
ただし、蓄電池が劣化した場合、キーシェルの殻割りとハンダでの溶接作業が必要となるため、自分での交換は非常に困難でリスクが高い作業です。
キーシェルを割る際に内部の基盤部品を破損させるリスクがあり、一度破損すると鍵を新調する必要があるため、ディーラーでの対応が推奨されます。
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電池切れの前触れとして、ボタンを押しても反応が鈍くなったりする場合は、早めの電池交換をおすすめします。特に冬の朝などは電池の力が弱くなりやすく、いつもより反応が悪くなることがあります。
鍵(スマートキー)のボタン電池の交換手順
BMWのスマートキーの電池交換は、正しい手順と適切な道具があれば、どなたでも安全に行える作業です。
まずは落ち着いて、一つずつ手順を確認しながら進めていきましょう。
STEP
必要な道具と材料を準備する
先端部の刃幅が3mm程度のマイナスドライバー
- 小さめのマイナスドライバー(先端の幅が3mm程度のもの)
- 新しいボタン電池(CR2032型またはCR2450型)
電池は信頼できる日本のメーカー(パナソニックなど)の製品を選ぶことをおすすめします。
品質の低い電池を使うと液漏れを起こし、キー本体が故障してしまうリスクがあるためです。
STEP
内蔵されている緊急用キーを取り出す
内蔵キーを引き抜いた様子
スマートキーの裏側にある小さなボタンを押しながら、中に隠されている金属製のキーをそっと引き抜きます。
このキーは万が一の時に車のドアを開けるための大切なものなので、作業中は無くさないように注意してください。
STEP
キーのケースを慎重に開く
マイナスドライバーを差し込む様子
緊急用キーを抜いた四角い穴に、マイナスドライバーをそっと差し込みます。
てこの原理を使って優しく持ち上げるようにすると、ケースの留め具が外れて二つに分かれます。
強く力を入れすぎると留め具が壊れてしまうので、ゆっくりと慎重に作業してください。
STEP
古い電池を取り外す
電池カバーが外れた様子
ケースが開くと、中に小さな基板(電子回路)と丸い電池が見えます。
電池は金属のクリップで固定されているので、マイナスドライバーで優しくクリップを外し、古い電池を取り出してください。
基板には傷をつけないよう、特に注意が必要です。
STEP
新しい電池を取り付けて元に戻す
キーシェル(ケース)を元に戻した様子
新しい電池を正しい向き(プラス面を上)でセットし、クリップでしっかりと固定します。
ケースを閉じる時は、留め具がきちんと溝にはまって「カチッ」という音がすることを確認してください。
最後に緊急用キーを元の場所に戻せば作業完了です。
作業時間は約1~5分程度です。BMWディーラーに依頼した場合は工賃がかかりますが、ご自分で交換すれば電池代のみで済みます。
スマートキー電池残量低下の警告表示
電池交換を終えた後、車の画面に警告メッセージが表示される場合がありますが、これは正常な反応なのでご安心ください。
BMWの車両システムが新しい電池を認識するまで、数回のロックの開け閉めやエンジン始動が必要になることがあります。
電池交換後に「チェックコントロールメッセージ」が表示された場合は、以下の方法で車にスマートキーを覚えてもらいましょう。
- キー差し込み式の場合:エンジンルーム近くのキー差し込み口にスマートキーを入れてください
- ボタン式エンジンスタートの場合:ハンドル右側にある鍵のマークの近くにスマートキーを近づけてください
- 認識完了後:警告表示が消えて、いつものようにエンジンが始動できるようになります
この手順により、車の安全システムが新しい電池を確認し、近づくだけでドアが開く機能や盗難防止システムが正常に復帰します。
もし何度試しても警告が消えない場合は、電池の向きが間違っているか、電池自体に問題がある可能性がありますので、再度確認してみてください。
BMWの鍵(スマートキー)の電池交換でよくある質問
- 電池交換はどれくらいの頻度で行えば良いですか?
-
一般的には1~2年に一度の交換をおすすめしています。ただし、使用頻度や気候条件によって変わるため、警告表示が出始めたら早めの交換が安心です。特に寒冷地では電池の消耗が早くなる傾向があります。
- 電池が完全に切れてしまった場合、車に乗ることはできませんか?
-
BMWのスマートキーには緊急用の物理キーが内蔵されているため、電池が切れても車のドアを開けることができます。エンジン始動も特別な手順で可能ですが、安全のため早急に電池交換を行ってください。
- どんな電池を選べば良いですか?安い電池でも大丈夫?
-
パナソニックなどの信頼できる日本メーカーの電池をおすすめします。安価な電池は液漏れのリスクがあり、キー本体が故障すると修理に高額な費用がかかってしまうため、品質の良い電池を選ぶことが重要です。
- 自分で交換するのが心配です。専門店に依頼した方が良いでしょうか?
-
正しい手順と適切な道具があれば、どなたでも安全に交換できる作業です。ただし、不安な場合は無理をせずBMW正規ディーラーや信頼できる整備工場にご相談ください。安全第一で判断することが大切です。
- 電池交換後も警告が消えない場合はどうすれば良いですか?
-
まず電池の向き(プラス面が上)が正しいか確認してください。それでも改善しない場合は、車両システムに認識させる特別な手順が必要です。キー差し込み口への挿入や、鍵マーク近くへの接触を試してみてください。
- 蓄電池式のスマートキーの電池交換は自分でもできますか?
-
蓄電池式の場合、キーシェルの殻割りとハンダでの溶接作業が必要となるため、自分での交換は非常に困難でリスクが高い作業です。キーシェルを割る際に内部の基盤部品を破損させるリスクがあり、一度破損すると鍵を新調する必要があるため、その場合はBMW正規ディーラーや信頼にご相談ください。
BMWの鍵(スマートキー)の電池交換のまとめ
電池交換完了後のBMWスマートキー
スクロールできます
BMWのスマートキータイプのリモコン電池【CR2032】
BMWのスマートキータイプのリモコン電池【CR2450】
今回は、BMWの鍵(スマートキー)の電池交換について、基本的な仕組みから具体的な交換手順、警告表示への対処方法まで、BMW整備士の視点から分かりやすく解説させていただきました。
BMWのスマートキーは、近づくだけでドアロックが解除される「コンフォートアクセス」機能や、車両の盗難防止システムと連動した暗号化通信など、現代の自動車技術の粋を集めた設計となっています。
CR2032型またはCR2450型のボタン電池の交換は約5~10分の簡単な作業ですが、安価な電池による液漏れリスクを避けるため、信頼性の高い国内メーカー製品の使用をおすすめします。
一方で蓄電池式スマートキーについては、専門的な技術と特殊な工具が必要となるため、信頼できる整備工場での作業が安全で確実な選択肢となります。
定期的な動作確認と警告表示への速やかな対応により、BMWの先進機能を常に快適にご利用いただき、安心で楽しいカーライフを実現していただければ幸いです。
- BMWの鍵の電池交換は約1~5分の簡単な作業で、適切な道具(小さなマイナスドライバーと信頼できるメーカーの電池)があれば自分で安全に実施可能
- ボタン電池式(CR2032/CR2450型)と蓄電池式の2種類があり、それぞれ異なるメンテナンス方法に対応した適切な管理が必要
- 電池切れになると車のドアロック解除ができなくなったり、エンジン始動ができなくなるなど、日常の運転に大きな支障をきたすリスクがある
- 電池交換後に警告表示が出る場合は、キー差し込み口への挿入や鍵マーク近くへの接触により、車両システムに新しい電池を認識させる手順が必要
- 定期的なメンテナンスとして約2年に一度の電池交換を行い、品質の良い電池を選ぶことで、液漏れによる高額な故障を防ぎ、安心してBMWライフを楽しむことができる
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